CALIFORNIA SURF
【五十嵐カノアを育んだカリフォルニア】
<Part_2>
Photo by Kenyu Takahashi
Text by Eisuke Tomiyama
HB PIER …
カリフォルニアで一番好きな場所 ハンティントンビーチ・ピア
帰国翌朝、楽しい仲間と朝一セッション
青い空と白い砂浜、ビーチ沿いのパームツリーとビーチバレーのコート、そして、海に向かってまっすぐ伸びるピア。ハンティントンビーチは、カリフォルニアのイメージそのままの場所である。カリフォルニアの海岸線には各所にピアがあるが、最も有名なのはハンティントンビーチはだろう。大波で何度も壊れた木製のピアは現在コンクリート製になっているが、その景色は変わらない。
ハンティントンビーチは、古くからサーフタウンとして栄え、かつてはデビッド・ヌヒワがヒーローとして君臨し、80年代のOPプロではトム・カレントマーク・オキルーポが歴史に残る死闘を演じるなど、さまざまなサーフヒストリーが刻まれててきた。
現在はアメリカ最大のサーフコンテスト、USオープンの会場となっているが、昨年のUSオープンでカノアは優勝を果たした。大観衆の前での地元優勝は大変な盛り上がりとなり、翌日カノアは新聞の一面を飾る。そして、カノアは、地元のヒーローとしての地位を不動のものとした。
(※原稿は今年3月のもの。五十嵐カノアは8月にUSオープン2連覇の快挙を果たした)
カノアの得意技 エアーリバース・ブロウテール
ピアからまっすぐPCHを渡ると、老舗サーフショップのジャックスとHSSが向かい合うメインストリート。ここもすっかりきれいになり、かつての素朴な面影はないが、この町に中心にサーフィンがあることに変わりはない。亜そしてハンティントンのメインストリートには、いくつものカノアのポスターが飾られている。
帰国の翌朝、カノアはハンティントンにサーフィンに出かけた。年のほとんどを旅で過ごし、地元にいるのは1〜2ヶ月という生活だけに、ここでのサーフィンの機会はすっかり少なくなった。しかしカノアにとって、ハンティントンは今もホームスポットである。
駐車場に入ると、老若男女さまざまな人々から次々と声をかけられる。その一つひとつにていねいに応え、握手をかわすカノア。それにしても、ほんの小さな子供から、おじいちゃん、初心者からカノアのようなCTサーファーまで、ここでは本当にさまざまなタイプの人々がサーフィンを楽しんでいる。コンスタントに波のあるビーチブレイクは、あらゆるサーファーを受け入れるのだろう。
ようやくウェットに着替えてパドルアウトしたたカノアは、さすがに別格のサーフィンを見せた。とにかくスピードが違う。あっという間にセクションを抜け、高さのあるエアをダイナミックに決める。カノアが世界トップのサーファーである事実を、そのサーフィンは明確に表現していた。
老若男女問わず、地元ハンティントンでカノアの人気は抜群だ。おばあちゃんと一緒に、カノアとの写真をおねだり。
(Part_3へ続く)
(Part_1はこちらから)
※SURF MAGAZINE VOLUME.06より、加筆修正を加え転載。